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傷付けずにはおられない [御法縁]

自分の発した ひと言 ひと言が、誰かを傷つけているんです。
こちらに傷付ける意思など全くなかったとしても、私の発したひと言で傷ついている人がいるんです。

人は、誰もが皆、多かれ少なかれ何らかの傷を抱えながら生きています。
遠い過去に受けた傷が癒えぬままに今を生きている人もいるでしょう…、 その傷を忘れてしまったかのように生きていながらも何らかの縁によってその痛みを呼び起されるということもあるでしょう…。
その傷の痛みは、自分にしかわかりません。 身体に受けた傷も、心に受けた傷も、他の人と分け合うことなど出来ませんし、その痛みをわかってあげることも、わかってもらうことも出来ないのです。

例えば、「君はわがまま」 と言われて、あなたは傷付きますか? また、傷付いたとしたら、その痛みはどれくらいのものですか?
そのひと言を発した相手との人間関係や、その時の言い方、また今現在の自分の心境などによっても受け止め方は様々だと思います。

もしも愛し合っているホットな恋人から言われたならば、そのひと言にも愛を感じてペロッと舌を出しながら嬉しく思うかもしれません。 もしも仲むつまじい連れ合いに言われたならば、そんなわがままな私でも愛してくれているのねと、そのひと言が安心感に変わるかもしれません。
でも、もしも大嫌いな人間やわがままこの上ない上司などから言われたならば、きっと怒り心頭になるでしょうし、 もしも尊敬している師や片思いの恋人などから言われたならば、悲しみに落ちて行くかもしれません。

また、その言葉を受けた側のその時々の心境によって、同じ相手から言われたひと言であっても、嬉しかったり、悔しかったり、悲しかったりと変わってくるでしょう・・・。

それから・・・、 もしも 「君はわがままだ」 というそのひと言が、受けた相手にとって、過去に受けた傷、トラウマを呼び起すキーワードであったならばどうでしょうか・・・?
そのひと言を発した本人の意図しないところで、これを受けた相手をひどく傷付けてしまうことになるでしょう。

「傷付けるつもりなどなかった」というのは言い訳です。 「こんなことで傷付くなんて、受け止め方が悪いんだ」というのも、「勝手に傷付いて・・・、なんで傷付くのか訳がわかん」というのも、自分を正当化させるだけの言い訳にしかすぎません。
そうやって平気で人を傷つけ、自分に言い訳し続けているのが私なのです。

あるひと言で、ひどく落ち込んだことがあります。
あの時の私には、その相手から発せられたそのひと言を、受け止めることも聞き流すことすらも出来るような状態にはありませんでした・・・。 そして、未だ乗り越えていない過去の傷をさらにえぐられて、悲しみ、怒り、我を失うほどに 痛く 痛く 傷付きました。
その痛みは、自分にしかわかりません。 その傷を負わせた相手にも、どれだけ身近で親身になってくれる親や心友であっても、自分の受けた痛みをわかってもらうことなど無理な話なのです。

でも、私は傷付けられるばかりではありません。 何もわざわざ仕返しなどしなくても、私が傷付いたと同じように、私も自分では気付かない所で人を傷つけているのです。 私のひと言で相手に痛い思いや悲しい思いをさせているのです。
誰かを傷付けずにはおられない・・・。
たとえ自分にそのつもりがなくても…、たとえ誰も傷付けずに生きて行きたいと願い努力していたとしても…、私という人間が存在している限りそれは無理なんです。 誰かを傷付けずにはおられないのが私なんです。
そうかと言って、「だったら死んでやる」というのもやっぱり誰かを傷付けることになります。

でもね、そんな私が許されていたんです。
たくさんの人を、そして自分さえも傷付けて止まない私が、許されてここにいるんです。
「たとえ無意識であったとしても何者をも傷付けることはしてはならない」でもなく、「傷付けずにはおれないヤツは生きていてはならない」でもなく、人を傷付けてしか生きられない自分なのだと気付いてくれればいい。 また傷付けてしまった、自分が悪かったと気付いてくれればいいと。

「こんな私です・・・」と観させてもらった時に力なく顔を上げてみたら、そのまんまの私が許されて生かさせていただいているのだと知りました。 こんな私だからこその御本願だったと。 南無阿弥陀仏
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