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晨朝勤行 [御法縁]

西本願寺の晨朝勤行(じんぢょうごんぎょう)に初参加させていただきました。

夜明け前、ほんのり冷たい秋の空が白み始めた頃、まだ車の音もまばらな京都の街に行事鐘の音色が朝の空気を揺り起こすかのように鳴り響きました。
その音色を境内にて心地よく聞きながら本堂へと向かい、『讃佛偈』の読経が始まると同時に堂内に入ると、既に200名ほどの方が座してお朝事に参加しておられました。
私は、後方のど真ん中辺りに座をとり、お念仏をしながら耳に読経をいただいていたのですが、「いっさいく~く~(一切恐懼) い~さ~だいあん(為作大安)」のところをなぜか唱和していて、そこで、どんな意味かもわからないまま何かこみ上げてくるものを感じました。
その後は、うる覚えのところだけでも読経に参加しようと試みたのですが、やっぱり全然覚えていなくて・・・、格好つけの口パクです。
ただ最後の、「仮令身止 諸苦毒中 我行精進 忍終不悔」 のところだけ、「あぁ、覚えているぞ」と声に出し、これを耳に聞きながら、「あぁ、そうだった、そうだったんだ」といただきました。

本堂を出ると、真正面、東の空に朝やけの美しい景色が広がっていました。 
「わぁ~、きれい~」と見とれていると、後方にいたおばさま方が、「早朝からお寺詣りをしてお経を聞かせてもらうと気持ちがいいわね~」と話しておられるのを耳にして、フッと自分の心を見てみると・・・、 「うん、確かに気持ちがいいぞ・・・」。 お寺詣りが気持ちいいわけでも、お経が気持ちいいわけでもないと思うけど、でも、なんだか気持ちいいと感じている私がいました。

本堂から御影堂へ移動して、今度は最前列に座をとり 『正信偈』のお勤めに参加させていただきました。
いや~~~~~ 、 『正信偈』で大泣きをするおじさんを知っていますが・・・、 まさか自分もあんなんになるとは思っていませんでした。 こんなことなら、後方の片隅にでも座っておくべきでした・・・。

私は真宗を聞きかじりながらも、『正信偈』すら、ここに何が書かれてあるのか、その内容の全てを知ってはいません。
ただ、「帰命無量寿如来」と「私」、 「南無不可思議光」と「私」、 今、その現実がここにあるのです。
それは、 お釈迦さま、 龍樹大士さま、 天親菩薩さま、 曇鸞大師さま、 道綽襌師さま、 善導大師さま、 源信和尚さま、 法然聖人さま、 これら高僧方が命をかけて伝えてくださったお念仏で、 それを親鸞さまがあきらかにしてくださいました。 これを蓮如さまが広めてくださって、ご先達方が人から人へとお念仏を相続してくださったおかげで、いま、ここの場に私が座らせていただいてるのだと・・・。
私には、そのご苦労を微塵も知ることなど出来ません。 考えたことすらありません。
でも、『正信偈』は、どこまでも どこまでも 果てしなく深い。 それをドキッと感じさせていただいて、この相続の末端が私であり、この私一人がおめあてだったのだと知らされたら・・・、なんだか涙が溢れてきちゃったんです。

「南無阿弥陀仏」が何なのか、私が知っているのは見・聞きしたほんの小さな知識のみで、本当は何一つわかってはいないけれど、でも、その「南無阿弥陀仏」によって、いま、ここに、私が座らせていただけていたんです。
「如来の願力どこにある!」、「御働きなんて糞くらえ!」、「大嫌い! 大嘘つき! 鬱陶しいぞ!」 と如来さまを罵っていた私。 きっと、また縁をもよおせば私の中からはワンサカと悪態が飛び出すでしょう。
そんな私だからこそ 「南無阿弥陀仏」しかなかった。
なんか訳わからんけど・・・、 御苦労だとか、御力だとか、私には何もわからんけど・・・、 でも、こんな私だから御苦労をおかけして、こんな私のために「南無阿弥陀仏」になってくださった。

『正信偈』のお勤めの後には短い御法話をいただきました。
親鸞さまの御教え、蓮如さまのお言葉をそのまま伝えて、そのまま受ければいいだけなのに、「私」が入るんです。 それが邪魔なんです。 説く方も、聞く方も、その大きな邪魔モノを持っているだなぁと聞かせていただきました。

私は今まで、「自力」とは、自分の力で力むことだと思っていました。 でも違いました・・・。
私そのままが自力でした。
何も力など入れなくても自力は自力であり、どんなに力んだところで、それは単なる独り相撲でしかありませんでした。
だって、他ではない、まるごとそのまんまの私自身が自力だったんです。

お朝事の最後に蓮如さまの『御文章』をいただきました。 蓮如さまからの御手紙は、一通まるまるで完結だったんですね~。
シーーーンと静まりかえた御影堂で、泣きながらツイッと出たお念仏に、周囲からは一歩引いた奇異の視線が寄せられましたが、私一人が儲けた感に、表面的な気恥ずかしさよりも憍慢な私が恥ずかしかったです。

晨朝勤行が終わって御影堂を出ると、今度は真正面より朝日が私めがけて一直線に放たれていました。
ホンに気持ちの良い朝でございました。
西本願寺の晨朝勤行.JPG

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