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初対面のお念仏 [随筆日記]

11.9 アミリヤ 東山公園.JPG先月半ば、妹とその娘アミリヤ(3歳9ヶ月)がお泊りに来ました。 たった三日間の滞在でしたが、賑やかく、楽しく、でもちょっとお疲れの時間を共に過ごしました。
初日は我が家でゆっくりとおしゃべりなどして過ごしたのですが・・・、 お互い愚痴ばかりです… (^^ゞ。
私たちのお郷はちょっとばかり複雑な事情をかかえておりまして、普段は目に触れぬよう、心に触れないような生活をしておりますが、やはり妹と会えばこの話題は避けられず、それに毎度の事ではありますが今回も一悶着ありまして、妹にとっては辛く悲しい帰省になったことと思います。 そしてアミリヤにとっても・・・。
子供というのはすごく敏感ですね。 我が家で過ごした三日間はとても元気に楽しんでいたアミリヤでしたが、この後、父(アミリヤからみておじいちゃん)を訪ねた時には、「お家に帰りたい」と泣き出し、実家に立ち寄った後には熱を出してしまったそうです。

さて、妹たちの滞在二日目は東山動植物公園に遊びに行ってまいりました。
ここは、私や妹にとっても幼い頃からの思い出がつまった公園でありますので昔話にも花が咲き、またアミリヤとの園内散策はとても楽しかったです。

翌日は妹が日本的な所に行きたいというので、真宗大谷派・名古屋東別院へ行くことにしました。
山門をくぐった境内では、お東幼稚園の園児らが遊んでおり、それを遠巻きに眺めているアミリヤ。
この秋から日本の幼稚園に通い始めたのですが、やっと5,6個の挨拶言葉が日本語で言えるようになった程度ですので、今はどこへ出かけても言葉の壁が彼女の動きを制限してしまっているようです。

本堂に入ると私たち以外に参拝客はおらず、アミリヤはその広さに少し興奮気味でしたが、私が仏さまの真正面に座しますとアミリヤも私の横にピッタリとくっついて仏さまの前に座しました。
そして私が合掌をすると、アミリヤはこれを少し不思議そうに眺めながらも、その小さな手と手を組み合わせるしぐさをしたのですが、これがちょっと違うんです。
妹夫婦はモルモン教徒なのでいわゆるキリスト教の信者です。 ですからアミリヤも食事の挨拶や祭壇の前では、仏式の指をのばしたままの合掌とは違い、手と手の指を組み合わせて両手でグーの形を作るのです。
まずはこれを修正して、手と手の指と掌を合わせた合掌の仕方を教えます。
そして、「Please call the ‘na・mu・a・mi・da・du・tsu’.(‘南無阿弥陀仏’と呼んでみて)」と言うと、ちょっと困った顔をしながら身体を動かすも口は動かず・・・。 それで今度は少し短めに、「アミリヤ、‘なまんだぶつ’」と促すと、声にこそ出しませんでしたが小さな口がかすかに動き、頭の中ではこの単語を言葉にしようと何度も繰り返しているように見えました。
「なまんだぶつ なまんだぶつ なまんだぶつ ・・・」 私の称えるお念仏がアミリヤの耳から入って行き、合掌、礼拝する姿を見て、アミリヤの頭がコクンと下がりました。
そこで、「アミリヤが‘なまんだぶつ’と言ってくれたら私はとても嬉しいのだけどなぁ~」と言うと、彼女は少し照れ恥ずかしそうにしながらも 「na・n・du・da …?」 と、さな声ではありましたが彼女の口から声となってそれは発せられました。
それがなんだか無性に嬉しくて、私は 「なまんだぶつ なまんだぶつ」とアミリヤに向かって称えると、それに応えた彼女の口からカタコトではありますがお念仏が声となって何度も飛び出してくださった。
「ありがとう、ありがとう」。 私はアミリヤに向かってそんな気持ちでいっぱいになりました。

この時、自分の過去を思い返してみても、私が初めて自分のお念仏と出遇った日の記憶はありません。
ですが、誰かが教えてくださったから合掌も出来るようになったのだし、‘南無阿弥陀仏’と言えるようになったのです。 その御苦労を私は知らないし考えたこともありません。
ただ、これを喜んでくださっている如来さまがおられるのだということを、意味もわからずに 「なまんだー、なまんだー」とはしゃぎながら称えているアミリヤの姿を通して教えていただきました。
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